デッサン力不要!? 「トレース水彩画」という技法 [私の絵]
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以前、一枚の絵をアップしました。
沖縄 竹富島の「樹木のトンネル」の絵です。
その時の記事はこちらです。
その絵は、「トレース水彩画」という技法を使って描いたのですが、
今日はその技法について、もう少し詳しくご紹介したいと思います。
この技法を提唱されているのが、森田健二郎さんという水彩画家です。
簡単に言うと、写真をトレースすることで下描きをし、それに着彩をするというものです。
私の作品を使って、制作過程を紹介したいと思います。
1.写真を用意する
用意した写真は、大阪市中央区の空堀(からほり)地区の風景です。このあたりは空襲を免れたため、古い家屋が多く残っています。この写真のように、商業施設などに再生されている家屋が散見されます。画ネタとして魅力ある場所が多い街ですね。
写真をトレースして下描きをしますので、描きたい大きさに写真をプリントアウトします。
私の場合は、A4サイズに余裕をもって収まる程度の大きさにしました。
2.写真をトレースする
用意するものは、水彩用の画用紙(マルマンのVIFART B4サイズを使用)、カーボン紙、赤色のボールペン、仮止め用の粘着テープ(普通のマスキングテープを使用)。
画用紙の上に、カーボン紙、写真と重ね、写真が動かないように、テープで画用紙に貼り付けます。ただし、トレースの状況を作業中に確認する必要があるので、貼り付けは上部一方のみとし、めくれるようにしておきます。
あとは、赤いボールペンで写真の画像の輪郭をなぞっていくという事になります。
とくに難しいことはないのですが、けっこう根気はいりますよ(笑)。
トレースに赤色のボールペンを使うのは、どこをなぞったかわかりやすくするためです。
基本的にはフリーハンドでトレース。線の曲がりも味のうち、です。
上はトレースが終わった状態。
3.陰影をつける
用意するものは、漫画用墨汁(開明というメーカーの物を使っています)、筆を数種。
漫画用墨汁を使い、陰影を付けます。
墨汁を水で溶いて、濃さを確認しながら重ね塗りし、トーンの微妙な調整をしていきます。
着彩時には難しいとされるトーン調整を、モノクロで先にやってしまうのです。
漫画用墨汁は、乾くと耐水になり、後から塗る絵具と混ざりません。
この工程で、すでにトーン調整も終わっているし、さらに濁りも気にする必要もないので、
次の工程では、色の塗り分けに専念できるというわけです。
これが、この技法のキモでもあります。
この段階の完了のイメージは、「露出過多のモノクロ写真」です。
4.水彩絵の具で着彩
用意するものは、透明水彩絵具(ホルベイン社の物を使用)、筆数種、パレット、絵具皿、筆洗、マスキングフィルム(必要なら)など。
写真を見ながら、透明水彩絵具で着彩していきます。
手順としては、大雑把なところから、薄い色から、というのがセオリーです。
大きな面積の部分をざっくり塗ってから、細かい描きこみへ、
薄い色を塗って、濃い色を重ねていくという風に進めていきます。
仕上げの段階で、不透明水彩絵具の白でハイライトを入れて、完成です。
使った道具類を、改めて写真でご紹介。
絵具はパレットに出して、固めて使用しています。
減ってきたら継ぎ足すようにし、いちいち洗い流しません。
「トレース水彩画」では、写真をトレースするので、デッサンが狂いません。
「絵を描こうかな」と思ったとき、最大の障壁になるのが、
「下描きデッサンが上手く描けない」という事だと思います。
この技法では、その障壁を完全スルーできてしまうのです。
どなたが描いても、「この、へたくそが!」とはならないはずです。
なので、仕上がりのクオリティーは、「陰影付け」と「着彩」の技術に委ねることになります。
が、これも写真という、ある意味完璧な見本があるので、難しく考えずに、忠実に、着実に、再現、という方針でOKです。
表現力を向上させるには「透明水彩絵具」という画材の使い方に、慣れ親しんでいく必要がありますが、絵を描くのが好きな者にとって、その過程は「楽しみ」でしかない、と思います。
トータルのイメージは、「大人の塗り絵」を下描きからやってしまおう、といった感じですね。
ご興味があれば、ぜひ一度チャレンジしてみてください!
「よし、私も描いてみよう」と思われた方は、返事代わりに、
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以前、一枚の絵をアップしました。
沖縄 竹富島の「樹木のトンネル」の絵です。
その時の記事はこちらです。
その絵は、「トレース水彩画」という技法を使って描いたのですが、
今日はその技法について、もう少し詳しくご紹介したいと思います。
この技法を提唱されているのが、森田健二郎さんという水彩画家です。
簡単に言うと、写真をトレースすることで下描きをし、それに着彩をするというものです。
私の作品を使って、制作過程を紹介したいと思います。
1.写真を用意する
用意した写真は、大阪市中央区の空堀(からほり)地区の風景です。このあたりは空襲を免れたため、古い家屋が多く残っています。この写真のように、商業施設などに再生されている家屋が散見されます。画ネタとして魅力ある場所が多い街ですね。
写真をトレースして下描きをしますので、描きたい大きさに写真をプリントアウトします。
私の場合は、A4サイズに余裕をもって収まる程度の大きさにしました。
2.写真をトレースする
用意するものは、水彩用の画用紙(マルマンのVIFART B4サイズを使用)、カーボン紙、赤色のボールペン、仮止め用の粘着テープ(普通のマスキングテープを使用)。
画用紙の上に、カーボン紙、写真と重ね、写真が動かないように、テープで画用紙に貼り付けます。ただし、トレースの状況を作業中に確認する必要があるので、貼り付けは上部一方のみとし、めくれるようにしておきます。
あとは、赤いボールペンで写真の画像の輪郭をなぞっていくという事になります。
とくに難しいことはないのですが、けっこう根気はいりますよ(笑)。
トレースに赤色のボールペンを使うのは、どこをなぞったかわかりやすくするためです。
基本的にはフリーハンドでトレース。線の曲がりも味のうち、です。
上はトレースが終わった状態。
3.陰影をつける
用意するものは、漫画用墨汁(開明というメーカーの物を使っています)、筆を数種。
漫画用墨汁を使い、陰影を付けます。
墨汁を水で溶いて、濃さを確認しながら重ね塗りし、トーンの微妙な調整をしていきます。
着彩時には難しいとされるトーン調整を、モノクロで先にやってしまうのです。
漫画用墨汁は、乾くと耐水になり、後から塗る絵具と混ざりません。
この工程で、すでにトーン調整も終わっているし、さらに濁りも気にする必要もないので、
次の工程では、色の塗り分けに専念できるというわけです。
これが、この技法のキモでもあります。
この段階の完了のイメージは、「露出過多のモノクロ写真」です。
4.水彩絵の具で着彩
用意するものは、透明水彩絵具(ホルベイン社の物を使用)、筆数種、パレット、絵具皿、筆洗、マスキングフィルム(必要なら)など。
写真を見ながら、透明水彩絵具で着彩していきます。
手順としては、大雑把なところから、薄い色から、というのがセオリーです。
大きな面積の部分をざっくり塗ってから、細かい描きこみへ、
薄い色を塗って、濃い色を重ねていくという風に進めていきます。
仕上げの段階で、不透明水彩絵具の白でハイライトを入れて、完成です。
使った道具類を、改めて写真でご紹介。
絵具はパレットに出して、固めて使用しています。
減ってきたら継ぎ足すようにし、いちいち洗い流しません。
「トレース水彩画」では、写真をトレースするので、デッサンが狂いません。
「絵を描こうかな」と思ったとき、最大の障壁になるのが、
「下描きデッサンが上手く描けない」という事だと思います。
この技法では、その障壁を完全スルーできてしまうのです。
どなたが描いても、「この、へたくそが!」とはならないはずです。
なので、仕上がりのクオリティーは、「陰影付け」と「着彩」の技術に委ねることになります。
が、これも写真という、ある意味完璧な見本があるので、難しく考えずに、忠実に、着実に、再現、という方針でOKです。
表現力を向上させるには「透明水彩絵具」という画材の使い方に、慣れ親しんでいく必要がありますが、絵を描くのが好きな者にとって、その過程は「楽しみ」でしかない、と思います。
トータルのイメージは、「大人の塗り絵」を下描きからやってしまおう、といった感じですね。
ご興味があれば、ぜひ一度チャレンジしてみてください!
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2017-04-13 23:51
nice!(44)
コメント(6)
トラックバック(0)
器用ですね〜♪
絵も描けるんですね。^^
空堀大好きです。
最近行ってないなあ〜
また行こうかな〜^^
by hatumi30331 (2017-04-14 05:22)
これはいい!
ポチッといきました。^ ^
by KENT0mg (2017-04-14 09:02)
これはすごい。
ここまで描きこむには相当な根気が必要と思うのですが
絵を描くのが好きな人にはその部分が楽しいのでしょうね。
by いっぷく (2017-04-14 21:57)
検査結果良好だったので・・・
ガブガブ?いえ・・・山盛り?
いえ・・・赤いワイン毎日2杯飲んでます。へへ;
by hatumi30331 (2017-04-15 06:13)
こんにちは。
素晴らしいです〜 根気が要るでしょうね !
by yakko (2017-04-16 15:25)
泉の森は、私の活動拠点がある場所でもあります。
来年はお花見に来てね。^^
by hatumi30331 (2017-04-16 23:22)