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「古民家」の、明日はどっちだ! [日常雑感]

先日、仕事で古民家の調査に行ってきました。
場所は、大阪府内のとある市、としておきましょう。

現在も、持ち主が住まわれている家なので、詳しくお見せすることはできませんが、絶滅寸前にある「日本の古民家」はどういう状況にあるかを見て頂きたく、差し支えないと思われる範囲でご紹介したいと思います。

外観(部分)
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ここに住むご夫婦の奥様が生まれ育った、築80年ほどの入母屋瓦葺きの立派な建物です。
この、古い建物を再生するか、取り壊して新築を建てるか、ご検討中です。


玄関を入ると、広い土間、というのが、この手の古民家の、特徴です。
この家では、その広い土間で振り分ける形で
右手に、かなり以前に、“新建材”を使って改装されたDKと応接室(写真はアップしません)
左手に、古い形をほぼそのまま残す座敷があります。

下の写真は、玄関土間横の座敷の様子
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左手、光が差すところは広縁。中庭に面しています。
正面ガラス障子の向こうに、立派な床の間や仏間を設えた奥座敷があります。
それぞれの座敷の右手に、連なるようにもう一部屋が在り、合計4つの座敷が田の字型に並ぶ、基本的なスタイルです。

4つの部屋を仕切るものは、障子・ふすまといった建具のみ。
建具を外すと、たちまち村の寄り合いが出来るような、大広間となるのです。

「プライベートの確保」という思想は欠片も感じられませんが、良くも悪くも、それが日本伝統の住宅文化であり、正しい日本のお正月は、このような場所でしか迎えられないような気がします(笑)


玄関土間の天井付近の様子
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今どきの家では見ることが出来なくなった、大きな梁が架かります。
木部も、漆喰塗りの壁も、長い年月が経つうちに、燻され汚れてはおりますが、造形的な美しさは健在。見とれてしまいます。


さて、ここは何処でしょう!?
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外観写真を見ると、2階建てにも思えるこの家ですが、実は平屋です。
「まっくろくろすけ」が現れそうな、この薄暗い空間は、小屋裏(屋根裏)なのです。
でも、ちゃんと床が張られてあり、普通に歩けます。
超大型の小屋裏収納庫ですね。

両サイドから差し込む光は、スリット状の開口からのもの。
ガラスなどは取り付けられてなく、風も、少々の雨も、入ります。

床の上には、土が敷かれたようになっています。
でもこれは、もしかしたら大屋根の瓦葺きの土が、野地板の隙間からすこしずつ落ち続け、長年の間に積もったものかもしれません。

古民家は、懐が深いのです(笑)


古民家が解体され、建て替えられるのは、耐久性の問題からではありません。
古民家の間取りなどが、現代のライフルタイルに合わないからです。
それだけの理由で、日本の文化資産ともいえる古民家が、消えていくのは寂しいことです!

この家の未来は、現時点では未定です。
この家が再生され、永く住み継がれていくように、祈ります!


日本の伝統的家屋が、上手く現代文化と融合し、
次代へ受け継がれていくことを祈念して、
ポチッとお願いします。

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