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「古民家」の、明日はどっちだ! [日常雑感]

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先日、仕事で古民家の調査に行ってきました。
場所は、大阪府内のとある市、としておきましょう。

現在も、持ち主が住まわれている家なので、詳しくお見せすることはできませんが、絶滅寸前にある「日本の古民家」はどういう状況にあるかを見て頂きたく、差し支えないと思われる範囲でご紹介したいと思います。

外観(部分)
123.jpg
ここに住むご夫婦の奥様が生まれ育った、築80年ほどの入母屋瓦葺きの立派な建物です。
この、古い建物を再生するか、取り壊して新築を建てるか、ご検討中です。


玄関を入ると、広い土間、というのが、この手の古民家の、特徴です。
この家では、その広い土間で振り分ける形で
右手に、かなり以前に、“新建材”を使って改装されたDKと応接室(写真はアップしません)
左手に、古い形をほぼそのまま残す座敷があります。

下の写真は、玄関土間横の座敷の様子
321.JPG
左手、光が差すところは広縁。中庭に面しています。
正面ガラス障子の向こうに、立派な床の間や仏間を設えた奥座敷があります。
それぞれの座敷の右手に、連なるようにもう一部屋が在り、合計4つの座敷が田の字型に並ぶ、基本的なスタイルです。

4つの部屋を仕切るものは、障子・ふすまといった建具のみ。
建具を外すと、たちまち村の寄り合いが出来るような、大広間となるのです。

「プライベートの確保」という思想は欠片も感じられませんが、良くも悪くも、それが日本伝統の住宅文化であり、正しい日本のお正月は、このような場所でしか迎えられないような気がします(笑)


玄関土間の天井付近の様子
s003.jpg
今どきの家では見ることが出来なくなった、大きな梁が架かります。
木部も、漆喰塗りの壁も、長い年月が経つうちに、燻され汚れてはおりますが、造形的な美しさは健在。見とれてしまいます。


さて、ここは何処でしょう!?
s004.jpg
外観写真を見ると、2階建てにも思えるこの家ですが、実は平屋です。
「まっくろくろすけ」が現れそうな、この薄暗い空間は、小屋裏(屋根裏)なのです。
でも、ちゃんと床が張られてあり、普通に歩けます。
超大型の小屋裏収納庫ですね。

両サイドから差し込む光は、スリット状の開口からのもの。
ガラスなどは取り付けられてなく、風も、少々の雨も、入ります。

床の上には、土が敷かれたようになっています。
でもこれは、もしかしたら大屋根の瓦葺きの土が、野地板の隙間からすこしずつ落ち続け、長年の間に積もったものかもしれません。

古民家は、懐が深いのです(笑)


古民家が解体され、建て替えられるのは、耐久性の問題からではありません。
古民家の間取りなどが、現代のライフルタイルに合わないからです。
それだけの理由で、日本の文化資産ともいえる古民家が、消えていくのは寂しいことです!

この家の未来は、現時点では未定です。
この家が再生され、永く住み継がれていくように、祈ります!


日本の伝統的家屋が、上手く現代文化と融合し、
次代へ受け継がれていくことを祈念して、
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nice!(68)  コメント(16) 

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コメント 16

hatumi30331

古民家には歴史と味があるのよね〜♪
うちの母屋も・・・・かなり古くて・・・・
朽ちてしまいそう〜
うちには関係なのですが・・・
リフォームしたら良いのに!っていつも思ってます。
宝くじ当たれば、買いとって私がリフォーム!
って夢が・・・・・(笑)
by hatumi30331 (2017-10-01 15:51) 

うめむす

hatumi30331 さま
南大阪は、本来農村地帯だったので、
立派な母屋を持つ農家が数多く残るところです。
そんな伝統家屋の良さに気付いているのは、
案外若い人の方が多いのかもしれません。
hatumiさんが宝くじに当たらなかった場合は、
ぜひ、古民家を大事にしそうな若い人に譲ってあげてください(笑)。
by うめむす (2017-10-01 21:59) 

きーちゃん2

古民家の魅力と言えば、歴史と風格のある佇まい。太い柱や梁など見る限り、耐久性は十分。現代の施工技術や建築資材を用いて更に魅力的で高品質な古民家にリニューアルしてもらいたいものですね。
by きーちゃん2 (2017-10-02 01:10) 

majyo

再生してほしいです。
お金はかかるかもしれませんが、合板など使わず
元の素材が生きるリフォームが良いな
期待しています。
私も古い家で育ちました。
by majyo (2017-10-02 09:03) 

viviane

現代のライフルタイルに合わないから?
そうやって日本から古いものがどんどん消えて行ってるんですよね
古民家でのスタイルに、今の自分を合わせられる人が買い取ってくれると良いですね
妙に安全面とかも気にしすぎの日本人:全ては自己責任の異国
確かに、繊細で素晴らしい物は作る技術は持っているけど、もうどの国にも置いて行かれてる感じがします
by viviane (2017-10-02 10:38) 

トロル

ガラス障子、こんなに大きく仕切られて、シンプルで広々としていて、まさにお正月に集う親戚のお家だったら、毎年それが楽しみだろうなぁ。でもじぶんのおうちだったら、ひとが集まりやすいプライベートエリアもへったくれもない作りは、やはり落ち着かない…とは思っちゃうなぁ。お年を召されて住み方を変えたくなるのも解りますし。
静岡市内で薪を焚いてお風呂に入る古民家?だった知り合いも、数年前ついに立て替えて、そこで出た木材をどこか別の場所で再生して建てる方にお譲りしたという話を聞きました。その場所でそのまま生かされる方がいいなぁと思う気持ちと、複雑な思いになりますよね。
それにしてもその屋根裏、惜しい!
by トロル (2017-10-02 13:39) 

森田惠子

梁の形美しいですね。
障子を取り払うと大広間というのもいいですね。
残ってほしいなぁ~!

私が今暮らしている実家は平成元年に建てられたものですが、両親が二人で暮らすという前提で建てた家なので、狭い家ですがプライバシーがありません(笑)
でも、夏、全部を開け放していると風が抜けて気持ち良いです。
by 森田惠子 (2017-10-02 17:56) 

ぴーすけ君

古民家、落ち着きますね~心が。
by ぴーすけ君 (2017-10-03 13:46) 

うっかりくま

古民家に住みたいという若い人に貸し出すとか、
私も過去ブログでとりあげましたが古民家カフェ、
古民家ギャラリーとか最近結構人気がありますね。
先日の「鶴瓶の家族に乾杯!」でも古民家に住み
たくて東京から四国に移住した女性が登場して
いました。・・とこんな感じでまたコメント欄に
顔を出しますのでヨロシク。。足は出せなくて
ゴメンナサイ。


by うっかりくま (2017-10-04 00:19) 

うめむす

きーちゃん2 さま
おっしゃる通り、重厚な風格は古民家ならではのものです。
その特徴を生かしながら、
現代のライフスタイルに合わせた住宅再生は、可能と考えます。
最終判断は、施主様ですガ・・・。
by うめむす (2017-10-04 19:24) 

うめむす

majyo さま
手の入れようによっては、建て替えた方が安い・・・。
古民家の再生工事は、とかくお金が掛かります。
でも、それだけの価値があるものだと思うのです。
ぜひ、再生してほしいものです。
by うめむす (2017-10-04 19:26) 

うめむす

viviane さま
ご指摘の通りと思っています。
以前にも書きましたが、
日本という国は、伝統を大切にしないですね。
よっぽど日本好きの外国人の方が、
日本の伝統文化の良さを知っているように思えます
残念でなりません。
by うめむす (2017-10-04 19:32) 

うめむす

トロル さま
ご指摘ごもっとも!
古民家の住宅再生の施工例を見ていると、
伝統的な意匠はそのまま活かし、使い勝手を現代風に改める、
という事を、うまくバランスさせています。

建て替えたら、話は早いのですが、
失うものも多いはずです。
日本らしいお正月を迎えられる空間が、
末永く残っていてほしいものです。
by うめむす (2017-10-04 19:35) 

うめむす

森田惠子 さま
古民家は、梁の形や大きさで感動してしまいます。
たとえば、壁の漆喰を塗り替えるだけでも、
コントラストが強くなり、その意匠が際立ちます。
今の木造住宅では、望めないものですよ!
それらを残しつつ、今風の間取りや設備を融合させて
再生できれば一番だと思います。
by うめむす (2017-10-04 19:36) 

うめむす

ぴーすけ君 さま
コメントありがとうございます!
古民家には、住んだことがない私ですが、
そこに身を置くと、懐かしい思いがします。
日本人の持つ、住まいの原風景なのかもしれません。
by うめむす (2017-10-04 19:38) 

うめむす

うりくま さま、いらっしゃいませ!

古民家は、壊してしまうと、
新しく、元の様な建物は建てるのは、ほぼ無理のようです。
あのような見事な材木が、今では調達できないみたいですね。
住んでみたいという若い人や外国人は、
たぶん、たくさんいると思います。
持ち主が住めない、というのなら、
壊さずに、譲る、貸す等を考えてほしいですね。

うりくまさん!
たまに、と言わずに、
しょっちゅう顔と、時には足も
出してくださいねっ!
by うめむす (2017-10-04 19:48) 

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