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映画「黒帯」。オリンピック競技「空手道」を楽しんでいただくために! [空手]

沖縄好きの私は、沖縄発祥の日本武道「空手道」のことも、こよなく愛しております(習っているわけではありません 笑)。
その空手道が、東京オリンピックの正式種目になったんだよー、という事は、このブログでも何度か書きました。でも、柔道と比べれば、まだまだメジャーではなく、どういう武道か理解されていないように思います。

私の手元に「黒帯」という映画のDVDがあります。
2007年公開となっていますので、10年も前の映画です。
しかしこの映画、「空手道とはなんぞや」という疑問に答えようとして作られた映画なので、東京オリンピックを3年後に控えたこの時期、10年の時を超えて“今こそ”注目されてほしいと思い、本日紹介させていただくことにしました。
尚、使用の画像は、同DVDパッケージ及び付属小冊子からと、動画をキャプチャしたものです。

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DVDの箱の裏面に書かれていることを、抜粋します。

闘いは“本当の自分”に出会うための旅である。
<ストーリー>
昭和7年。柴崎英賢の道場のもと、空手の修業に励む若き3人の男たちがいた。その名を、大観、長英、義龍という。だが、師 英賢の突然の死により、継承の証である「黒帯」が残される・・・。
激動の時代に翻弄されながらも、真の強さを求め、己の信じる道を突き進んでいく男たちの、魂を揺さぶる闘いの物語。一子相伝、空手の継承の証「黒帯」を手にするのは一体誰なのか?そしてその闘いの果てに彼らを待ち受ける運命とは!?

この映画の時代設定が昭和初期という、イメージ的に“暗い世相” の時代背景もあり、“荘厳なる武道”としての空手が映えます。但し、時代考証に甘さがあり、いくら昭和初期と言ってもそれはないだろ、と思えるシーンも散見されます(この映画が外国への空手プロモーション用として企画されていたようなので、「日本的演出」の過剰サービスかもしれません)。

ま、そんなことはともかく、注目すべきは伝統空手の動きによる格闘アクションです。
というのも、主人公である空手家二人を、本物の空手の達人が演じているからです。
プロの俳優ではないので、当然演技は下手なのですが、お二人の堂々とした佇まいが、そんなハンデを十分にカバーしているように思います。

まずは、そのお二人を紹介しましょう。

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義龍役 八木明人(やぎ あきひと) 国際明武館剛柔流空手道連盟 館長・練士6段(当時)
出演当時は30歳でしたが、その時空手歴はすでに27年。
沖縄剛柔流の嫡流継承者として、空手道に生涯を全うする運命にある方です。

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大観役 中 達也(なか たつや) 社団法人 日本空手協会総本部師範 7段(当時)
出演当時43歳。13歳より空手をはじめ、目黒高校、拓殖大学の空手道部と進み、その後、日本空手協会に所属し、様々な競技大会で活躍、全日本大会優勝を始め優秀な成績を残す。
現役時代は、「協会の貴公子」と呼ばれたオトコマエの師範です。


一般にはほとんど知られていない映画ですが、
公開当時、空手界では中達也師範のアクションがかなりの話題になっていたようです。

中師範の競技スタイルは、いわゆる「寸止め」だったのですが、流派を超えてフルコン空手家の心をも、一瞬にしてがっちり掴んだシーンがあります。
それが、映画冒頭での「つかみ」ともいえる、次のシーンです。

大観こと中師範が、軍服を着た男と対峙しています。
軍服を着た男が、腰の刀を抜こうと手をかけた刹那です。
大観の身体が、何の予備動作もないまま、画面を左から右へ一瞬で移動しました。
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あっ、と思った時には大観の右拳が、軍人の顎をとらえていたのです。
大観が放ったのは、「移動基本」で練習する「追突き」でした。
空手の基本技である追突きが、「演じる人によっては、こんなにも完成された技になるのだ!」と、空手関係者の感動を呼んだのです。

そして、分解写真を見てわかるように、突きを寸止めではなく、本当に当てています。
この映画を通して見られるアクションは、すべて当てているのです。
そりゃ、ものすごい迫力になるはずですわ。
因みに、この大変な殴られ役を演じたのは、日本空手協会の選手の方です。


では、そんなアクションシーンのいくつかを、映画の流れに沿って紹介いたしましょう。

もう一人の主人公 義龍こと八木師範 対 刀をもつ憲兵(白竜さんが演じていました)。
剛柔流らしい円の動きで、鋭い剣先を捌き、突き蹴りすることなく相手を制します。
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「空手に先手なし。こちらから相手を突いてはならん、蹴ってはならん」
「己の技を全力で向けるべき相手は己のみ、それは、生涯に一度あるかないかの至福の時」
といった、師 英賢の教えを、頑なに守るが故の義龍の戦法なのです。


師の教えに納得がいかない大観の方は、憲兵隊の手先となり、自分の腕試しとばかりに、次々と道場破りをしていきます。

とある道場での、若き道場主との対決。
大観は、相手が回し蹴りを出す瞬間に入り身をし、
カウンターの右拳逆突きが、見事に相手の顎を捉えます。
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相手は、蹴上げる足の勢いをそのままに、もんどりを打つように倒れます。
殴られ役、大変です。ちなみにこの方、フルコン空手の選手です。

映画半ばの、地域最強と言われる空手道場主と大観の対決。
この相手役は、この映画の企画・武術監督でもある、俳優の西冬彦氏です。
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緊張感溢れる対峙シーン。

相手の前蹴りに合わせて、大観の猛烈な中段逆突きが決まる。
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ワイヤーアクションなどの仕掛けなし。本当に吹っ飛ばされているのです。


そしてクライマックスで画面はモノクロに。
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師 英賢の教えを、頑なに守る義龍と、

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師の教えに背き、やりたい放題に暴れてきた大観、

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主人公二人の対決。

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最初はスタンディングでの技のやり取りから、

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やがて泥んこレスリング状態へ。

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闘いのリアリティーを追究したらこうなったようです。

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そして義龍の手刀が大観の頸動脈を捉える。

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大観は、「やっと師匠の教えがわかった」みたいなことを言い残し、息絶えます。

最後は、中達也、八木明人両師範の、形演武をバックにエンドロール。
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映画のストーリーは古い時代劇のようで陳腐、しかも突っ込みどころ満載なのですが、イメージとしての「日本武道 空手」は、うまく表現できていると思います。

義龍こと八木師範には申し訳ないのですが、大観こと中師範の「空手の形分解」を応用したようなアクションこそが、この映画の最大の見どころなのです。空手素人の私が言うのは、烏滸がましいことではあるのですが、これで空手の試合を観る目が養われるように思います。

機会あれば、ぜひご覧いただき、東京オリンピック 空手道競技での日本人選手の活躍に、期待してほしいと思います。

ウリャ!、気合と共に瓦を割るように、
ポチッとお願いします、押忍!

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